写真を撮ると魂が抜かれる?〜営業所の、ジブリ風アイコン革命〜
先日
職場の同僚が、スマホの画面をこちらに差し出してきました。
「ねえ、これ見て。すごくない?」
そこに写っていたのは、ジブリ映画のワンシーンのような、やわらかいタッチの肖像画。
けれど、よく見ると、その人物は――彼女自身。
「え、これ…自分で作ったの?」
「そう。ChatGPTに画像を読み込ませて、ジブリ風にしてもらったの」
最近流行っているとは聞いていたけれど、実物を見るのは初めてでした。
しかも、その完成度に、思わず声が漏れるほど。
ふだん見慣れているはずの彼女の顔が、
まるで映画の主人公のように、やさしく、美しく描かれていたのです。
「面白そう。私もやってみたい」
そう言ったのは、私だけではありませんでした。
気がつけば、30代、40代、50代ギリギリのメンバーたちが、
自分の写真を次々に取り出し、ジブリ風に変身させては見せ合い、笑い合っていました。
「うわ、若返ってる!」「ちょっと太ってない?」「誰これ?別人じゃん!」
ひとつひとつの反応が、素直で、率直で、どこか子どもみたいでした。
普段は数字とスケジュールに追われ、
黙々とパソコンに向かうことの多い営業所。
その空気が、その日は少しだけ、やわらかく、明るく変わった気がしました。
中には「え〜、こんなに太って見える?ショック〜」と笑いながら、
来週からのダイエット宣言をする人も。
若返って嬉しそうにしている人もいれば、
実年齢以上に老けて見えた自分に大爆笑している人も。
それぞれの反応が、いとおしく思えるほどに、自然でした。
ふと誰かが言いました。
「サ○ボウズのアイコン、統一してみたら面白くない?」
そんな冗談めいた提案が、意外にもすぐに形になっていきます。
まずは女子から、こっそりアイコンをジブリ風に変更。
すると間もなく、外線が鳴ります。
「これ…なに?」
電話の主は、本社の“目ざとい女子”。
「○○ちゃんと○○ちゃんのはすごくいいけど……福嶋さんのは、ちょっと……ね?」
――わざわざ、それだけを伝えるために電話してきたその行動に、笑ってしまいました。
確かに、そういうところ、あるよなぁ。
どうしても一言、言わずにはいられない人って、どこの職場にもいます。
でも、それさえも、ちょっとした“イベント”の一部のように思えてくるのだから不思議です。
もちろん、全員がノリノリというわけではなく、
ひとりだけ、最後までアイコン変更を拒んでいた人物がいました。
そう、部長です。
「部長もぜひ!写真、撮ってもいいですか?」
そう声をかけたとき、部長が静かに言った一言。
「……写真を撮ると、魂を抜かれるから」
……え?明治か。
その場が一瞬で笑いに包まれたのは、言うまでもありません。
今、世の中は便利なものであふれていて、
AIだってもう特別な存在ではなくなりました。
でも、技術がどんなに進んでも、
やっぱり人と人との間にある“笑い”や“やさしさ”は、
アナログで、ちょっと不器用なやりとりから生まれるんだなと思います。
厳しい数字、
張り詰めた空気、
なかなか晴れない心の天気。
そんな毎日の中に、
こういう「くだらないことを全力で楽しむ時間」が、
どれだけ大切かを、あらためて感じたできごとでした。
だからこれからも、少しくらいくだけたっていい。
ちょっとふざけたって、いいじゃないか。
笑えるって、素晴らしい。
今日も誰かがそっと、部長のアイコンをジブリ風に変えていないか、こっそり期待しています。

で、これ…私です(笑)